抗疲労研究の最新情報

抗疲労研究の最新情報 イミダゾールジペプチドの抗疲労のメカニズムの一端が明らかに

大阪市立大学医学部を会場に開催された「第15回 日本疲労学会総会・学術集会」。
ここで「イミダゾールジペプチドが持つ抗疲労の働き」を裏付ける新たな研究成果が発表されました。

疲労感と身体的疲労の両面から疲れを軽減する
イミダゾールジペプチドのチカラ

大学・研究機関の研究者や医療従事者が多数参加して2日間にわたって開催された「第15回日本疲労学会総会・学術集会」で、イミダゾールジペプチドの抗疲労メカニズムをひも解く研究発表が行われ、注目を集めました。

内容は、イミダゾールジペプチドを構成するカルノシンとアンセリンの機能に関するもの。
カルノシンが疲労感の軽減に、アンセリンが身体疲労の軽減に効果を示すことがマウスを使った試験で明らかになりました。

さらに、この2つの成分の混合物であるイミダゾールジペプチドは、アンセリン単体よりも身体疲労軽減効果を増強する可能性があることが分かったのです。
また、アンセリンとイミダゾールジペプチドは、酸化ストレスのほか、細胞の機能障害などにつながるERストレスも抑制すると考えられます。

⇒イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)に関する詳しい説明はこちら

イミダゾールジペプチドの
疲労回復メカニズム

マウスに疲労付加を与えて実験を実施
イミダゾールジペプチドの疲労回復メカニズム
イミダゾールジペプチドの疲労回復メカニズム カルノシン アンセリン
イミダゾールジペプチドの疲労回復メカニズム イミダゾールジペプチド

実験では、マウスに疲労負荷を与えてカルノシン、アンセリン、イミダゾールジペプチドの機能の相違を調査しました。

カルノシンのみを与えたマウスでは、他の成分と比べ優位に「疲労感」を引き起こす炎症性サイトカイン(※)を抑制したことから、カルノシンに疲労感を軽減する働きがあることが示唆されました。

アンセリンのみを与えたマウスでは、身体疲労の要因となる酸化ストレスやERストレス等による臓器の機能低下が抑制されたことから、アンセリンに身体疲労(身体の疲れそのもの)を軽減する働きがあることが示唆されました。

カルノシンとアンセリンの2つの成分で構成されているイミダゾールジペプチドを与えたマウスでは、炎症性サイトカインを抑制するとともに、アンセリン単体と比べ優位に酸化ストレス、ERストレスを抑制したことから、イミダゾールジペプチドは「疲労感」と「身体疲労」のどちらも軽減し、さらにアンセリン単体より「身体疲労軽減効果」を増強する可能性も示唆されました。

※酸化ストレスによって各臓器で発生した炎症性サイトカインが脳に届くことによって、疲労感が生じると考えられています。

監修:梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック 院長、医師・医学博士)