何となくボーッとする、体がだるい、動きが重たい…など、普段感じている疲れ。
「少し休めば元にもどるから…」と、気にしない人も多いかも知れませんが、疲れがたまると調子を崩しがちになりますので、きちんとケアすることが重要です。
たかが疲れと侮ることなく、いつも体のシグナルにしっかりと耳を傾けておくことから、健康で若々しい暮らしは始まります。
そのための第一歩として、疲労を引き起こす仕組みや解消方法など、疲労の基礎知識を身に付けておきましょう。
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スポーツや仕事でのやりがいや達成感(責任感が強い人)によって本来感じるはずの疲労感を脳が感じにくくなり、体には疲労が溜まっているのに、それを認識できない状態が「疲労感なき疲労」です。
疲労感は消えても疲労は消えていませんから、そこで頑張って仕事をすればますます疲労は溜まってしまいます。
「疲労感なき疲労」が怖いのは、この状態が長く続けば気づいた時には倒れるほど疲れている可能性があるということです。
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やる気や達成感が邪魔して中々解消できない「隠れ疲労」。
しかしどんな仕事や勉強でも「飽きた」と感じる瞬間がどこかで発生するものです。
スポーツや仕事などで、ひとつのことだけに集中していると、脳では同じところがずっと使われ続けることになるので、その部分だけが疲れてきます。
すると脳は「飽きる」という指令を出して、その部分を休ませるためにその作業をやめさせたり、違うことをさせたりしようと仕向けるのです。
脳を疲労から守るという意味では「飽きる」というサインは実はとても大切。飽きたら気分転換。もちろん眠るのが一番ですが、時間のないときは1時間ごとに気分転換して脳の違う部位を使うようにすれば、脳の疲労を起こしにくくすることができます。
脳のサインを早めに察知することで、隠れ疲労をより早期に解消することができるのです。
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私たちが活動する場合、体のあらゆるところで大量の酸素を使いますが、その過程で「活性酸素」という物質が生まれます。
実はこの活性酸素こそが全ての疲れのおおもとなのです。
本来、活性酸素はその強力な酸化作用により体に侵入したウィルスなどを分解する働きを担っています。
その一方で自らの細胞に対しても見境無く強力な酸化作用で傷つけてしまいます。
人間の体は約60兆個の細胞でできています。脳も筋肉もすべて細胞の塊です。
その細胞が機能を十分に果たせなくなりパフォーマンスが低下する。これが疲労の正体です。
⇒注目)疲労(と老化)の原因、過剰な活性酵素は抗酸化物質で抑える!
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活性酸素により細胞が傷つけられると、その細胞から老廃物が排出されます。
その老廃物の一種から誘発されて体内に発生するのが疲労因子「FF」(ファティーグ・ファクター)です。
この疲労因子「FF」、これこそが疲れの正体なのです。
疲労因子「FF」が増加した際には、「FF」によって誘導される疲労回復物質「FR」(ファティーグ・リカバー・ファクター)によって解消されます。
この物質「FR」は「FF」を中和することによって細胞の修復を促進させ疲労を解消させてくれます。
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自律神経には、私たちが活動している時に活発に働く交感神経と、リラックスしている時に活発に働く副交感神経という2つの神経系があります。
これらは正反対の働きをし、一方が優位に働いている時には、もう一方は抑制されるという関係にありますが、常にどちらかが働いていることになります。
つまり、自分の意志とは関係なく、24時間体制で体の状態を監視し、守っているのが自律神経。常に働いているわけですから、自律神経は体の中でもっとも疲れやすいといえます。
暑いと汗が出るのは、汗を出そうとして意識しているわけではなく、自律神経の働きによって汗を出し体温調節をしているのです。
ストレスによる疲労も自律神経の負担によるものです。
ストレスは自律神経を刺激し、身体を常に緊張状態にさせます。すると、自律神経をコントロールしている脳に負荷がかかり、脳は大量の血液と酸素を欲し、酸素消費量が増加します。
それに反応して活性酸素が大量に発生し、体内の神経細胞が傷つくのです。
これによりパフォーマンスが低下、これこそがストレスが疲労につながるメカニズムなのです。
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昔から「精がつく」として親しまれてきたうなぎ。
糖質をエネルギーに変えるためのビタミンB1を豊富に含むため、夏バテ解消に重宝されてきました。
しかし、現代において夏バテはエネルギー不足が原因ではなく、ビタミンB1も不足していないため、疲れ対策にならないのです。
スタミナ料理も加齢とともに胃もたれし、余計に疲れてしまいます。
疲労対策としてコンビニや薬局などで手軽に手に入る栄養ドリンクやコーヒーですが、飲むと疲れがとれたように感じるのは、カフェインや微量なアルコールの覚醒作用によるもの。
効果が切れたときに、かえって強い眠気や疲労感に襲われることもあります。
熱い湯につかれば疲れも吹き飛ぶ…ように感じるのは、脳内に分泌される快感物質のせい。
疲れを「感じなくなる」だけで、実際には熱い湯につかることは体に大きな負担をかけ、かえって疲れの原因になってしまいます。
温泉に入ると良く眠れるわけではなく、長時間の入浴によって体が疲れたためぐっすり眠れるのです。
「疲労感なき疲労」を生む要因として、夜遅くまで残業してからのスポーツクラブも要注意です。
これは疲労を感じにくくさせたり、かえって疲労を増やしたりしてしまう原因になります。
運動をするとドーパミンやアドレナリンなどの快感や興奮を与える物質が脳全体に作用するので、一時的に疲労感がとれたような錯覚に陥るのです。
運動をするなら、早めに休憩するか、軽い運動にとどめておくほうが良いでしょう。
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数ある疲労回復方法の中で最も効果的なのが「睡眠」です。
しっかりと「睡眠」がとれているかどうかが健康の鍵を握っているとも言えます。
睡眠による疲労回復効果を高めるには、睡眠の質を上げることが大事になってきます。
疲れた日に、床に入った途端眠りに落ち、夢も見ずにぐっすり眠り、夜中に目を覚ますことなく、気がつくと朝だったという経験はありませんか?これが質のよい睡眠です。
こういった睡眠を毎日とれるようになると、翌日に疲れを残さずに元気に毎日を過ごせるようになります。
疲れやすい人と疲れにくい人の違いのひとつとして、体の強さがあります。
体が強いほど疲れに対しても強くなるため、強い体をつくることが疲れ対策になります。
そのために重要なのが食事です。
栄養をバランスよく摂り、それを上手に代謝することができれば、体の機能は正常に保たれ、細胞も元気になり、活性酸素に対して強くなります。
一週間単位でもかまわないので献立を調整してできるだけバランスのよい食生活を心がけましょう。
活性酸素による酸化ストレスを軽減する抗酸化作用を持つイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)の摂取が、疲労軽減に役立つとされています。
イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)は、鶏の胸肉やマグロ、カツオの尾びれ付近の筋肉に多く含まれています。実験結果から、イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)は摂取開始から数日後に効果を発揮し、2週間以降の継続摂取でさらに効果が見られることが分かってきました。
疲労回復効能を発揮するためには、1日200~400mg摂取するのが理想とされています。
⇒抗疲労成分イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)に関する詳しい情報はこちら
疲労をとるには何もせずじっとしているのが良いのでは?と思われる方も多いはず。
実は軽い運動をすると、数時間後には疲労回復物質FRの量は疲労因子FFよりも多くなり、運動により出現したFFだけでなく、たまっていた普段の疲れにまで作用してくれます。
ポイントは、息が上がらない程度に体を動かすというところです。
癒しの効果を求めてアロマテラピーを活用されている方も多いと思いますが、疲労回復という点でいうと、科学的に抗疲労効果が認められた香りは、芝生を刈ったときなどに漂う「みどりの香り」1つだけです。
「みどりの香り」とは、植物が発する緑葉成分(匂いの元は「青葉アルコール」と「青葉アルデヒド」)です。
「みどりの香り」の効果は言うなれば即効型。
「疲れたな」と感じたときに嗅いでみてください。
ゆっくりと湯船につかることで血行が促進され、疲労回復につながります。
ここで大切なのは、ぬるめのお湯で半身浴をするということ。
38~40度のぬるま湯に、みぞおちのあたりまでのんびりつかって、自律神経を休ませてあげましょう。
寝る時間の1~2時間前に入浴して体温を上げておくと、質の良い睡眠につながります。
ずっと同じところを使い続けるとその場所が疲労してしまうのは、体でも脳でも同じです。
何か別のことをする=気分転換をすることは疲労の軽減に役立ちます。
例えば、仕事をしていて疲れたら、窓の外の景色を見てみてください。
あるいは、楽しくおしゃべりをしたり、好きな音楽を聴いたりするのも良いでしょう。
何かに集中していると脳は疲れてしまいますので、上手に気分転換をはかることも疲れをコントロールするためには大切なのです。
自然の多い場所に出かけると、気分がスッキリして、疲れが軽くなったように感じることがありませんか?どうして疲れが癒やされるのか。これはマイナスイオンのおかげではありません。
マイナスイオンの効用にはまったく科学的根拠がないのです。
その秘密は「ゆらぎ」にあります。
例えば、森の中では温度と湿度は刻々と変わり、木々が風に揺れるたびに木漏れ日が輝き、時おり川のせせらぎや鳥の声が聞こえる…というように、自然の中ではすべてが絶えず変化しています。
これが「ゆらぎ」なのです。
人の生体活動にも、自然の環境と同じように「ゆらぎ」があります。
脳波や心拍数、体温、血圧など私たちの生命維持に関することも、一定ではなく常に変化しています。
私たちも自然の一部。
体の中に「ゆらぎ」を持っているため、自然環境の「ゆらぎ」とシンクロすることで心地良いと感じるのでしょう。
自然や四季の変化を意識し「ゆらぎ」をうまく取り入れて、疲労の軽減を心掛けましょう。
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