疲労回復に効果的な
食べ物の選び方

最近、疲れが取れなくて困っていませんか?疲れを取るために「スタミナ料理」を思い浮かべるかもしれませんが、実は「エネルギー補給」では疲れの回復は期待できません。疲れの原因は、活性酸素による自律神経のダメージです。正しい知識を持ち、毎日の食事に気を配ることで、疲れを軽減し、疲れにくい体を手に入れることができるでしょう。

バランスのいい食事

■疲労回復に食事が大切な理由

「エネルギー補給」で疲れが取れないのなら、どうすれば良いのでしょうか?バランスの良い食事を摂ることは大切ですが、疲れの原因は活性酸素による脳の自律神経へのダメージです。そのため、「抗酸化作用」のある成分を摂取して、体内の活性酸素を取り除くことが必要です。

ほかにも摂取した栄養を効果的にエネルギーに変えることも疲労の回復に繋がります。今は飽食の時代。ふだんの食事でエネルギーの補給は充分でも、活性酸素によるダメージで細胞がエネルギーを活用できなくなると疲れを引き起こしてしまいます。

■疲労回復効果が期待できる成分

それでは疲労回復に効果的な成分と食材を見ていきましょう。

・イミダゾールジペプチド

抗酸化作用を持つ成分はいくつかありますが、その中でも特に効果が高いとされるのが「イミダゾールジペプチド」です。一般的には「イミダペプチド」とも呼ばれ、鶏むね肉に豊富に含まれていることが知られています。

このイミダゾールジペプチドが他の抗酸化成分より優れている点は、疲労の原因となる脳で集中的に抗酸化作用を発揮できることです。

鶏むね肉が最も多く含んでいますが、豚ロース肉やカツオ、マグロなどにも含まれています。

「イミダゾールジペプチド」が豊富に含まれる鶏むね肉

抗疲労成分「イミダゾールジペプチド」に関する詳しい情報はこちら

・クエン酸

イミダゾールジペプチドとは異なるメカニズムで疲れを取る効果があるのが「クエン酸」です。私たちの体の細胞内には、食事から摂取した栄養を使ってエネルギーを作り出す「クエン酸回路」という仕組みがあります。活性酸素によるダメージで細胞がエネルギーを作り出せなくなると疲れを感じますが、クエン酸はエネルギー生成の効率を上げるため、疲労軽減に効果を発揮します。

ただし、クエン酸によって作られたエネルギーを使うと活性酸素が発生します。クエン酸だけでは酸化ストレスを防げないため、イミダゾールジペプチドなど抗酸化作用のある食材と組み合わせるのが良いでしょう。

クエン酸を含む食品には、梅干しやレモンなどの柑橘類、黒酢などがあります。

疲労軽減に効果を発揮するクエン酸はレモンに多く含まれています。

・コエンザイムQ10

コエンザイムQ10は、クエン酸回路の働きを助け、エネルギー代謝を向上させます。また、抗酸化作用もありますが、イミダペプチドやクエン酸に比べると疲労軽減効果は弱いです。そのため、これらを含む食材と一緒に摂ることをおすすめします。

コエンザイムQ10は、イワシやサバなどの青魚に多く含まれています。青魚には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)も豊富に含まれています。

EPAとDHAは疲れに直接作用するわけではありませんが、酸素を運ぶ赤血球を柔軟にするため、酸素が体の隅々まで行き渡り、細胞がエネルギーを作り出すのを助けてくれます。そのため、EPAとDHAが不足しないようにすることも大切です。

コエンザイムQ10は、イワシやサバなどの青魚に多く含まれています。

■疲労回復につながる食習慣

疲労を防ぐためには、自律神経への負担を減らすことが重要です。そのためには、朝昼晩の3食を規則正しい時間に摂ることが大切です。

ダイエットのために炭水化物を抜くのは避けましょう。空腹を強く感じると、交感神経が活発になり、エネルギー不足だけでなく、自律神経にも負担がかかります。

交感神経を落ち着かせるためには、甘いものを摂るのも効果的です。脳内のブドウ糖が不足すると、血糖値を上げようと交感神経が優位になりますが、甘いお菓子などを摂ることで血糖値が上がり、脳の疲労を和らげることができます。
これらの正しい知識による食習慣を心がけることで、疲労回復を促進しましょう。

朝昼晩の3食を規則正しい時間に摂ることが大切です。

監修:梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック 院長、医師・医学博士)