疲労に関する6つの誤解

多くの「疲れ」の正体は、自律神経に対する活性酸素によるダメージです。この事実があまり知られていないため、疲労に対する誤解が生じることがあります。本記事では、日常生活の中で多くの人が抱える疲労に関する6つの誤解について解説します。正しい知識を身につけ、毎日を元気に過ごしましょう。

1)「体が疲れた」は誤解

疲労と言うと、体の疲れと思いがちですが、「体が疲れた」と感じるのは、実は脳にある「自律神経」の疲れが原因です。体が疲れたと感じても、実際には筋肉や内臓はほとんど疲れていないということが研究でわかっています。

運動すると自律神経は呼吸や心拍、血圧をコントロールするために活発に働き、疲弊します。自律神経が疲れると、これ以上運動させないように『体が疲れている』と勘違いさせるのです。

運動をした時も疲れの原因は自律神経

2)「熱いお風呂で疲れをとる」は誤解

熱いお風呂に浸かると気分がスッキリして、疲れがとれたと感じるかもしれませんが、実際には逆効果です。熱いお風呂に入ると、体温、心拍、血圧などが大きく変化し、自律神経がそれらを調整しようとして負担が増えるため、むしろ疲労が蓄積します。

疲れをとるためには、38~40度のぬるま湯に、10分以内でみぞおちまで浸かる半身浴が効果的です。

熱いお風呂は自律神経の負担が増えて、むしろ疲労が蓄積します

3)「スタミナ料理で疲労回復」は誤解

疲れをとるには、「焼肉やうなぎなどのスタミナ料理でエネルギー補給!」と思っていませんか?脂肪や糖質が多いスタミナ料理は消化や吸収も大変。胃腸にとって大変なことは、コントロールする自律神経にも負担がかかり、かえって疲れがたまってしまいます。

疲れている時は、消化のよいものを食べて、胃腸を休ませましょう。

脂肪や糖質が多いスタミナ料理は自律神経に負担がかかる

4)「寝酒でぐっすり」は誤解

ほろ酔い程度ならリラックスできるので、疲労回復の効果も期待できます。しかし、寝る直前にお酒を飲んで、酔って寝るのはNG。お酒の力で寝たつもりでも、麻酔で眠っているようなものです。そのため眠りが浅くなり、翌朝に疲れが残ってしまうことも。

アルコールは肝臓で処理されますが、その代謝プロセスで活性酸素が生じます。適量を超えてお酒を飲むと活性酸素も多く発生し疲労につながります。さらに深く酔うと脱水が起こりやすく、自律神経に大きな負担がかかるのです。

しかもアルコールが分解されるときに交感神経が刺激されて覚醒し、途中で目覚めてしまうこともあり、そのまま眠れなくなるとますます疲れがたまるという悪循環になってしまいます。

お酒で酔って寝るのは睡眠の質を下げます

5)「眼精疲労は目の疲れ」は誤解

自律神経が疲れているのに、体の疲れと間違われることは少なくありません。「眼精疲労」もそのひとつ。眼精疲労のきっかけとなるのは目のピント合わせ機能です。

自律神経による目のピント合わせは、原始時代に築かれたもの。外敵や獲物を探している緊張時には、交感神経が優位となって遠くを見て、食事や家族といるようなリラックス時には、副交感神経が優位となって近くを見ていました。

しかし、現代人は仕事中など交感神経が優位となる時に、デスクワークでパソコンを注視するなど、本来のピント合わせとは正反対。その結果、自律神経が混乱して疲れてしまう。これが眼精疲労の正体です。

目の疲れを感じたら、デスクワークを中断し、窓の外を眺めるなど、交感神経と副交感神経のバランスをとってください。

眼精疲労も自律神経の疲れが原因

6)「寝つきがいいからよく眠れている」は誤解

ふとんに入って5分以内に眠れるのは、寝つきがいいからではなく、気絶に近い状態かもしれません。眠るのにかかる時間は、5分~25分が正常範囲です。5分以内で意識が無くなるのは、脳が強制的に意識をシャットダウンするほど、自律神経が疲れているのです。

朝起きて間もない通勤電車ですぐに寝てしまう人なども注意が必要です。寝つきがいい、どこででも寝られると思っていても、脳が極度に疲れている表れと言えるでしょう。

脳の疲れをリセットするには、よい睡眠が大切です。翌朝に疲れが残るようなら、睡眠時間の確保と合わせて、睡眠の質の改善にも注意しましょう。

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5分以内に眠れるのは、睡眠では無く気絶

監修:梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック 院長、医師・医学博士)